「温故創新」211013 N908 伊波喜一

偏らず 育てることの 大切さ 野党育てん ショートマネー     

 暑い陽差しに疲れ気味の身には、恵みの雨だ。しかし、湿度が高く蒸す。この調子では、夏のあとにいきなり冬がやってきそうだ。

 英国には、野党だけに使われる「ショート・マネー」と呼ばれるお金がある。野党の議会活動を支援する、公的なお金である。

 なぜ野党にだけ配られるかというと、政策立案面で圧倒的に不利だからである。あくまでも政策競争を促すために、政策立案面での補助を野党にのみ行う。

 例えば巨大な官僚機構を、与党は意のままに使える。知的情報を集めるのも分析するのも、何だって出来る。あるいは「もりかけ」問題や「桜を見る会」疑惑に見られるように、事実を捻じ曲げて葬り去る事さえ容易に出来る。

 事実が伝えられないのだから、真実は闇の中である。かように、真実を塗り替えることさえ可能となる。

 英国の知恵は、1強に偏しないシステムを構築しようとするところにある。確かに、1強はこれから起こるであろう変化には備えられるが、小さな変化に弱い。今後の世の中の動きを考えると、大枠を捉えながら、小さな変化に機敏に対応していかざるを得ない。

 1強から2強、そして3強へのシフトを考えていく。筆者はこれを「多強主義」と呼ぶ。「多生多縁」の考え方をガバナンスにも活かすことこそ、英国流の知恵であろう。