「温故創新」210516 N758 伊波喜一

自利だけの 人生儚い 夢のよう 利他の心を 形で示し       

 アジサイの花芽が、大きくなってきている。

 やがて咲くための、準備を始めているかのようだ。傘とアジサイの季節が、もうじきやってくる。 

 コロナ下で生活が脅かされ、抑うつ的になったり排他的になったりしている。経済の停滞や収入の停止は死活問題であり、抑うつ的になるのは無理もない。

 相談するところのない不安や向けようのない不満から、怒りに転じるのも無理からぬ。それが差別の連鎖を広げていく。 

 人の心には、相手を受け入れ包み込む慈悲心がある。

 一方で相手との関係を断ち切り、攻撃する怒りの心もある。消し去ろうとしても、本来あるものを消し去ることなど出来ない。生命の傾向性をどうコントロールするかが、岐路となる。

 西洋では神と人とを明確に峻別している。仏法では生きとし生けるものは全て、相互に依存していると捉えている。

 この縁起観に立つ時、自身の人生は他者との関係性なくして成り立たない。同時に他者から恩恵を受け、それが自身の人生に色どりを与え、味わい深くする。この自利と利他のハーモニーこそ、共生社会の底流に流れる通奏低音である。 

 分断に組するのは、誰でも出来る。協調に向けて粘り強く歩むことを、自身に課したい。