「温故創新」210307 N688 伊波喜一

家庭から 出るごみの量 大量に 食品ロスを いかに防ぐや          

 サクランボが9割方咲いている。甘い匂いに引き寄せられたのか、つがいの小鳥がやってきた。春の訪れが間近い。 

 2019年に世界各国の家庭から出た食品廃棄物の量は、5億7千万トンにのぼった。

 国連環境計画(UNEP)の発表によると、小売りの廃棄物は1億1800万トン、レストランは2億4400万トンだった。

 家庭を含めた廃棄の総量は、9億3100万トンにのぼる。世界の食料生産の17%が、廃棄されている勘定となる。

 それに加え、食品廃棄に関する温室ガスの排出量は、世界の総排出量の8~10%に達すると予測されている。 

 流通の進んだ今、お金のある先進国は自国で生産せずとも、食べるものに困らない。三度の食事に事欠くなど、死語に近い。まさに飽食の時代である。

 不景気にも拘わらず店頭に品物が並び、品切れになることはない。どこまでも、日常生活が続くかのような錯覚。食に対する感謝と大切さを忘れた文明。

 消費に慣らされ、生産することの手間暇と関わる人々への思いを忘れた現代人。そのツケは全て、後世に回ってくる。 

 SDGsの取り組みにもある「勿体ない」運動を、地球的規模で連携して行うことが、今後の課題となろう。