「温故創新」210115 N637 伊波喜一

洞窟に 描き残された イノシシ画 ホモサピエンス 遠くより来たりて                

 昨日とは打って変わって、今朝はどんよりと雲が垂れ下がっている。関東は雪でも降りそうな空模様である。 

 インドネシアの洞窟で、鮮明なイノシシの壁画が見つかった。4万5千年以上前に描かれたと、オーストラリア・グリフィス大が発表した。チームはインドネシアスラウェシ島の奥地にあるリアン・テドング洞窟で、イノシシ画を発見した。 

 壁画には実物大のスラウェシ・イボイノシシの絵が、黄土色の絵の具で描かれていた。

 数頭のイノシシが描かれていて、物語の一場面と見られている。この地に古くから人類が住み着いていたことを示す、最初期の証拠と考えられる。 

 壁画は136㎝×54㎝で、顔の部分に角のような「いぼ」が一匹描かれている。このいぼは、成長したオスの特徴とされている。イノシシは別のイノシシ2頭と向き合っているが、その2頭は部分的にしか残っていない。 

 壁画からは1頭が前足と後ろ足を踏ん張って、正面の2頭を迎え撃つ体勢にも見える。研究者らは、イノシシがけんかや社会的な交流をしているところを描いたと考えている。 

 アフリカから大海原を超え、遥かインドネシアで芸術の萌芽を見せた新人類達。その逞しさに興奮を覚えるのは、筆者だけではあるまい。