「温故創新」201208 N607 伊波喜一

米中の 対立止まず 激化する 日本の役目 調整役と      

 イチョウの葉が風に舞ってゆく。太陽の光を浴びて、黄金色の葉が輝いている。もうしばらく、眼福を味わえそうだ。 

  中国と米国の主導権争いが激化している。

 貿易戦争に端を発した争いは、新型コロナの防疫をめぐり紛糾した。協力してコロナに対処できず、世界中に感染者を広げた。 

 軍事でも双方のせめぎ合いが苛烈になり、台湾や尖閣列島では中国の侵犯が常態化している。まさに一触即発の危機にあり、偶発的な出来事から軍事衝突に陥る危険性大である。

 何かの弾みで引き金を引かないと、誰が保証できるだろうか。 

 政治学者のイワン・ブレマーは、米中対立の行く末をテクノロジーの戦争になると語っている。

 テクノロジーを制するものが、覇権を得ると。今のところ、覇権国家同士、和平への接点を全く見い出させていない。 

 この交じり合わない大国の溝を埋めるのが、日本やドイツなど不戦国家の役割である。

 戦後75年もの長きにわたり、平和を維持するのは並大抵のことではない。それだけでも、賞賛に値する。 

 勇猛心とは、武力で相手を制圧することではない。争わず、平和裡に物事を進めていく忍耐力にこそ、その真価はある。今こそ日本は、分断から協力へと大国間の調整役を果たしてゆきたい。