「温故創新」200224 N389 伊波喜一

隠蔽の 事実暴くと 一人立ち 声を上げるか 名も無き正義

 「空飛ぶタイヤ」は、トレーラーの脱輪事故をめぐる中小企業の赤松運送と、大企業のホープ自動車との攻防を描いた作品である。事故の原因を整備不良と断定される中小企業。一方、構造上の欠陥についてリコール隠しする大企業。異を唱えることの出来ない中小企業は、大企業のやり方に呑み込まれてしまう。大組織の中にあって、不正をリークすることはそうそう出来ることではない。 日本の組織は、異を唱えられることに抵抗する。強弁すると異端扱いされかねない。確かに和や協調性は大事だが、それが強調されすぎると建設的意見や極論が出にくくなる。そして同調圧力が増す。それが昂じると、異論を排除するようになる。やがて、異論を異端扱いする。そうなると、正論であるかどうかより、上司や仲間内がどう考えているかを最優先するようになる。つまり、顔色を伺うようになる。そのことがコンプライアンス無視につながり、遵守とは正反対の方向へといってしまう。 現代は閉塞性の高い時代である。閉塞を打ち破るのは、唯々諾々と従うことではない。上下の立場を超えて、侃々諤々する中から新しい発想や行動原理は生まれるのだ。