「温故創新」 190830 N301 伊波喜一

角膜を 目に移植す 世界初 iPSの 貢献新た

 人間の体はよく、小宇宙に例えられる。角膜はわずか0.5㎜の厚さであり、光を取り入れる窓の役割をしている。また、光を屈折させて,水晶体とともに目のピントを合わせる働きがある。さらに、角膜表面は常に涙で覆われ、乾燥と眼球内部への細菌感染を防いでいる。これを、人工的に処理しようとすると、大工場が必要になるぐらい、膨大な処理と手間と時間がかかる。 角膜上皮幹細胞疲弊症は、黒目の表面を覆う角膜をつくる幹細胞が、怪我や病気で失われることから発症する。そして、視力が低下したり失明したりする。難病の一つといってよい。 今回、大阪大学の西田幸二教授らのチームが、様々な細胞になれるiPS細胞を角膜の細胞に変化させ、定着させた。結果、濁っていた角膜が透明になり、視力が改善してきている。 その他にも、他人の角膜を移植する方法があり、昨年度は720人から角膜の提供があった。凄いことである。臓器の提供については、遺族の側に抵抗がある。それでも、後進の道を拓き、後押しをしてゆこうとするところに、医療の進歩はある。この当たり前のことを我が身の行動で示されている提供者には、頭が下がる。