「温故創新」180602 N238 伊波喜一

 

向かい合い 互いの思い 伝え合う 考え違うも 先ずは聞かんと

日大アメフト部の余波が続いている。全体主義的体質、鉄拳制裁に見られる暴力体質、責任転嫁など、組織の悪いところが吹き出ている。これらは氷山の一角で、自浄作用を起こせない組織は似たような陰の部分を抱え込む。まさに、日本の制度疲労であり、グローバリズムに変わる新しい価値観が問われている。 東北のリンゴ農家は、これから受粉して実が成り、熟し収穫を迎える秋口まで、気の抜けない日々を過ごす。日照りや干ばつ、大風・長雨など、自然相手の仕事は、何か一つ対応が遅れるだけで命取りになってしまう。栄養のある土作りから病害虫の駆除まで、物言わぬ作物を相手にするだけに、五感を研ぎ澄ませ声なき声に即座に対応していく。農家の人曰く。「リンゴは物を言いません。暑い!寒い!と不平も言いません。精一杯、実を成らせようと生きています。だから、私は毎日一つ一つのリンゴの実に『調子はどうだぁ』と、声をかけています。 収穫の時は『立派に成ってくれてありがとう』と。感無量です」。 毎日言葉かけを続けていくと、甘みが格段に増すという。人ならば尚更のことだろう。互いの話を聴き合える社会でありたい。